経営指導の心得と題して、いろいろ語ってはいるが、ここで少し中休みをしよう。
あまり根を詰めてもいかんからな。

世間話ととってもいいし、商売以前の人間としての心構えの話としてとってもかまわん。

経営も経営指導も、人間同士の交流だ。

経営も経営指導も、突き詰めれば、人間同士の交流だ。あまり難しく考えてもいかん。

まあ、あまり簡単に考えるものが多いから、少し慎重になってもらいたいものもおるが、難しく考えすぎてもいけない。

簡単に考えても、難しく考えても、結局、そのことに関する実態は変わらないからな。
ときには、慎重に、ときには大胆に自分が思うようにやってみればいい。

自ら行動を起こしてみるということが大切なんだ。
大きなことや立派なことをしようなどと考えんほうがいい。
等身大のありのままの自分でやれることを、大いにやるというのが望ましい。

虚栄心というものは、自分の周囲の人間を傷つけるからな。
自分を大きく見せようとして、大きなことをやろうとするとケガをするぞ。

積小為大。

まずは、小さなことでいいんだよ。
小さいことの積み重ねがやがて、大きくなる場合もあるし、ならない場合もある。
そんなことは、最初からわからない。後に、振り返ったらわかることなんだよ。

後に振り返ってみるを、最初から見ようとすれば、人間というのは必ずズルをするもんだ。

ズルをすると自分に罪悪感を抱くようになる。
罪悪感を抱くと、自らを失敗に導く。
簡単な理屈だ。失敗の理屈はじつに簡単なんだ。

だから、今見える景色は平坦でも、一歩一歩意気揚々と進めばいい。
周りの人間がどんな景色を見ているかは関係ない。
お前自身はどんな景色を見たいんだ?

今は、どんな景色が見えるんだ?よく見てみることだ。
今の景色をよく眺めて、自分がどこにいるのか、まずは正しく知ることだ。
そして、そこからどこに行きたいか自分で決めることだ。

自分が行きたいところへ行く準備を始める。

まあ、まあ、あまり難しく考えるな。
そこから、富士山の頂上に行きたいと思ったら、何を準備する。なんとなくわかるじゃろ。
必要なものを買って、体力をつけるだろう。それと同じ、自分が行きたいところへ行く準備を始めればいいんだよ。

誰かに連れて行ってもらおうとか、誰かと一緒じゃなっきゃ嫌だとか、わがままを言い出すと、人生は難しくなる。

しかし、自分で決めて、自分で準備して、自分で自ら歩き出せば、実に単純明快、人生は溌剌と動き出すものだ。

じつに単純で気持ちがいいもんなんだよ。本当はな・・・。

単純に生きなされ。

だけど、悲しいかな、人間というものは、人をあてにし、人を非難し、人を攻撃し、人と争い、
人を道づれにしようとしたり、いろいろ画策することに頭を使っておる。

愚かに思えても、それが人間界の限界だ。
そんな世界から、お前を連れ出して、美しい世界を見せたくてな。
こうやって、いろいろやっているわけだよ。

まあ、でも、どうしたいかは、お前さん次第だ。誰にも無理強いはできん。
その人生は、一度きり。後悔のないようにな。

焦らず、欲張らず、気取らず、威張らず、素直に生きなさい。
自分らしく、自らを駆使して生きなきゃもったいないぞ。
その地に、行きたくても行けない魂もおる。

自ら選んだその人生、自らの力で謳歌してこそ報われるのだ。
楽しむも、苦しむも、己の心ひとつ。

単純に生きなされ。