日本人は昔から家族を大切にする。
だから、商売をする時は、家族の幸せを考えて行うとうまくいきやすい。
どの職業でも、個人の利益だけを追求すると必ず失敗する。
個人のその背景の家族を大切にする心がなければ、長くは続かないものだ。
こんな話をすると、皆わかったような気になるが、じつは、大体が理解していない。
自己欺瞞に気がつけ
家族の為を思っていという人間の多くは、お為ごかしに過ぎない。
親のため、旦那のため、妻のため、子供のためと口では言うが、ほとんどは、結局自分のことしか考えていない。
こんなことを言うと「なんて失礼なことを言うですか!私は本当に相手のことを思って・・・」と口調を強める人がいるが、それこそが、お為ごかしである証拠だ。
偽善者はそれを暴かれるときに必死に正当化する。
しかも、自分では、そのことに気がついていない。
つまり自己欺瞞に陥っているというわけだ。
経営指導だけではないが、自分以外の人間に助言を与える仕事をしているものは、この自己欺瞞に気が付かなければ一人前にはなれない。
多くのものが、このような仕事をしようと思ってもうまく行かないのは、自己欺瞞に気が付かないためだということに、気が付かなければならないのだ。
それは、簡単そうに思えるが正直かなり難しい。
相手の幸せを考えるということの難しさ
家族の幸せを考えるというと皆わかったような顔をするが、なにが幸せかということは一人ひとり皆違う。
その皆違う幸せの実現に貢献するのだから、まずは、相手の幸せということを理解しなければならない。
相手にとっての幸せがなんであるかも理解せずに、相手のためというのは、結局自分の思い通りに事を運ぶための隠れ蓑に過ぎない。
これらのことをすべて理解して、それでも意図して偽善を行えば、詐欺的行為になるわけだが、ほとんどは意図せず無自覚に行っている。
皆が、二言目には人の為だの、あなたの為を思ってだの言いながら、自分の利益を追求しよとしている。
無自覚なものは、詐欺罪などで裁くことはできないから仕方ないが、経営指導を行うものは、このことを理解し、自己欺瞞に気づき公明正大な境地に至らなければ、なかなか本当の意味で相手のためになる指導や助言はできるものではない。
日本は互いに独立せず依存しあっている家族が多い
話はもどるが、家族の幸せを考えるとうまくいくというのは事実だが、それが難しいのは、日本は互いに独立せず依存しあっている家族が多いため、相手のためと言いながら、自分の利益を考えるという、いわゆる、お為ごかしが蔓延している。
しかも、そのお為ごかしを正当化するために、日々、偽善的な行為を行っているため、それらが強化され、互いに自己欺瞞に気が付けないような心理状態になっている。
このような自己の心理状態に自ら気が付き、本当の意味で、相手のためになる助言とはどういうことかを考える事ができる状態にならないと経営指導どころの話ではないわけである。
多くの人間が自己欺瞞から抜け出せないのは、抜けるときの一瞬の辛さを回避しようとして、自分を正当化してしまうからだ。
一瞬の辛さの向こう側に、真実の世界があるのだが、それにチャレンジしよとする人間が少ないのは非常に残念なことだ。
しかし、それもまた人間社会の現実というものだということも理解する必要がある。
この項目は以上。